三諦とは、空諦、仮諦、中諦のことです。

 「諦」とは、明らか、つまびらか、真理という意です。

 すなわち、空・仮・中の三諦は、宇宙万物の実相を明らかにした三つの真理をいいます。

 あらゆる存在には必ずこの三諦が具わっているのです。

 空諦は一切の存在の性質、潜在力をいい、仮諦は因縁によって仮に和合している姿をいい、中諦は空・仮の二諦と
してあらわれている存在それ自体をいいます。

 例えば、水をとりあげた場合、水には〝湿り〟といった性質があり、湿度によって変化するという力用があります。

 こうした性質は空諦といえましょう。

 この水はある時には固体の氷になり、また気体の水蒸気になったりもします。

 そのような具体的な姿形が仮諦です。

 しかし、姿形は変わってもH2Oという水の本体には変わりがありません。

 それが中諦といえます。

 また、花木を例とすると、芽を出し、葉をつけて、やがて美しい花が咲きます。

 このように変化する姿が仮諦、また、芽を吹き、花を咲かせる等の性質が空諦といえましょう。

 そして、冬には枯れ木のように見えていても、春になると花が咲く―しかし花木それ自体は変わりはありません。

 それが中諦といえるのです。

中諦は根幹を成す

 人間の場合においても、Aという人がいて、年齢とともに姿、形がかわっていくでしょう。

 その変わる姿が仮諦であり、AにはAとしての性質や知恵があり、それが空諦、更に三歳の時のAも、四十歳の時のAも、一人のAであることに変わりはありません。

 このAという人間そのものが中諦といえます。

 今、水、生物、人間の三つの例を示してみましたが、空・仮・中の三諦を考えるに際して一助となるものです。