この説話は良く聞く話ですが、以下。

 昔、ある森の中にはたくさんのウズラが住んでいた、そこに一人のウズラ捕りがやってきた。

 彼はウズラの鳴きまねが非常に巧みで、ウズラ達がその声に引きつけられて次々と集まってくる。

 するとウズラ捕りは、その上に網を投げ、一網打尽にして捕まえるのである。

 彼はこのようにして得たウズラを売って、生計をたてていた。

 この様を外から見ていた一羽の賢いウズラは皆に向かっていった。

 「このままでは、このウズラ捕りに私たちの仲間は滅亡させられてしまう。皆よく聞いてくれ、私はつかまらない方便を知っている。網を投げられたら、すぐに銘銘に頭を網の目に入れ、網をもち上げ、飛んでいき、イバラのあるヤブに投げ捨てよ。こうすれば、網から逃れられる」

 勇気と希望がわいてきた彼等は、その作戦に従って難を逃れることにした。

 翌日、ウズラ捕りの声に引きよせられて網の下に置かれた鳥たちだが、今度はあわてなかった。

 賢い鳥に教わったとおりに、団結して網をもち上げ、イバラのヤブにこれを投げ捨てると、網の下から易々と逃れた。

 その結果、このウズラ捕りはヤブから網を取り離す事に手間取っているいちとうとう日が暮れてしまい、その日は一羽も取れずに帰宅せざるを得なかった。

 ウズラ達は、同様にして翌日も翌々日も難を逃れ、ウズラ捕りも日の沈むまで網をとりはずことに時間を費やしむなしく帰宅することを重ねたのである。

 これにはとうとう妻が怒って、ある日、「お前さん、毎日、一羽も取れずに帰るが、お前さんは森でなくどこか他に行って楽しく遊んでいるのじゃないのかい?」

 ウズラ捕りは慌ててそれを否定した後、事情を説明し「しかしながら、いつまでもウズラ達は本当に和合してはおるまい。心配するなよ、彼等が喧嘩(けんか)を起こす時には、一羽残らず、捕まえてしまい、お前を喜ばせてやろう」

和合を破壊するもの

 かくしてその数日後、一羽のウズラがエサをついばみに降りた時、うかつにも仲間の頭を踏みつけてしまったのである。

 怒ったウズラと踏みつけたウズラとの間の言葉のやりとりから売り言葉に買い言葉で、ついに喧嘩が始まってしまった。

 これを見た賢いウズラは

「喧嘩好きの者には幸福というものはない。彼等が協力して網をもち上げなくなった時は、彼等の滅亡の時であり、ウズラ捕りのチャンスだ。もうここには住めない」と親しい仲間を連れて他所(よそ)に赴(おも)いてしまった。

 そして数日後、森にやってきたウズラ捕りは、くだんのごとく、鳥の上に網を投げた。

 今度は「君のせいで髪の毛が抜けたから、君が網をもち上げよ」

「君のせいで両方の翼から羽毛が抜けた。それで君がもち上げよ」

 網の中で互いに激しくいいあっている間に、ウズラ捕りの手元にたぐりよせられてしまった。たくさんの収穫に、妻は歓声をあげて夫を迎えた。